【顔面神経麻痺】ENoG(イーノグ)10%未満とは?重症と言われた方へ
「ENoGは10%未満ですね」
顔面神経麻痺と診断された後、この言葉を聞いて不安になった方も多いのではないでしょうか。
診察室では冷静に話を聞いていても、帰宅後に
・重症と言われた
・後遺症が残るかもしれない
・元の顔に戻らないのではないか
と不安が次々に湧いてくることがります。
実際、当院へ来院される患者さんの中にも、
「ENoGが10%未満と言われました」
「もう治らないのでしょうか?」
というご相談をされる方が少なくありません。
今回は、ENoG10%未満とはどのような状態なのか、患者さんの目線で解説します。
《ENoG10%未満とは何を意味するのか》
ENoG(イーノグ)は、顔面神経がどれくらい機能しているかを調べる検査です。
麻痺していない側を100%と比較し、麻痺側がどれくらい反応するかを数値で表します。
10%未満という結果は、
顔面神経のダメージが大きい可能性がある
ことを示しています。
そのため、一般的には重症例に分類されます。
《なぜ顔面神経麻痺ではENoGが重視されるの?》
顔面神経麻痺では、
・顔がどのくらい動かないか
・本人がどれくらい困っているか
だけでは重症度を正確に判断できません。
見た目は同じような麻痺でも、
神経のダメージには大きな差があることがあります。
そこでENoGを用いて、
神経がどの程度働いているかを客観的に評価します。
《重症と言われたら覚悟しなければいけない?》
ここで誤解してほしくないことがあります。
重症とは、
「治らない」という意味ではありません。
重症とは、
「回復までに時間がかかる可能性がある状態」
を意味します。
患者さんの中には、
「重症=絶望的」
と受け取ってしまう方もいますが、実際にはそう単純ではありません。
《顔面神経の回復は想像以上にゆっくり》
顔面神経は傷つくと、すぐには回復しません。
例えば骨折ならレントゲンで経過が見えますが、顔面神経の回復は目に見えにくく、患者さん自身も変化を感じにくいことがあります。
そのため、
「全然良くなっていない」
と思っていても、数か月後に振り返ると少しずつ改善していたということも珍しくありません。
《インターネットの情報に振り回されないでください》
ENoG10%未満と検索すると、
重症例や後遺症についての情報が多く出てきます。
もちろん知識を得ることは大切ですが、
他人の経過がそのまま自分に当てはまるわけではありません。
顔面神経麻痺は、
・発症原因
・年齢
・治療開始時期
・神経の状態
などによって経過が異なります。
《後遺症のリスクは高くなる》
残念ながら、ENoG10%未満では後遺症のリスクが高くなることが知られています。
代表的なものとして、
・顔のつっぱり感
・左右差
・病的共同運動
などがあります。
しかし、
「後遺症が残る可能性がある」
ことと、
「必ず重い後遺症が残る」
ことは別の話です。
実際には日常生活に大きな支障なく過ごされている方も多くおられます。
《今、一番大切なこと》
ENoG10%未満という結果を聞くと、どうしても数値ばかりが気になってしまいます。
しかし、患者さんにとって本当に大切なのは、
今日の数値ではなく、その後の経過です。
顔面神経麻痺の回復は長い道のりになることがあります。
だからこそ、
・焦らないこと
・悲観しすぎないこと
・適切な治療を継続すること
が重要になります。
《まとめ》
ENoG10%未満は、顔面神経麻痺の中では重症と考えられる状態です。
しかし、
「治らない」
「元に戻らない」
という意味ではありません。
私自身、顔面神経麻痺の患者さんと接する中で感じるのは、
同じENoGの数値でも、その後の経過は一人ひとり異なるということです。
検査結果だけに目を向けるのではなく、これからの回復の可能性にも目を向けていただきたいと思います。



